| 五島のブランド力 (長崎新聞「うず潮」9月号より) |
ながさき地域政策研究所 常務理事・調査研究部長 菊森 淳文
|
私は、東京から何人かの友人が来ると、必ず五島列島を一緒に旅行します。しかも観光ルートや旅館・ホテルを出来るだけ変えます。五島列島を選ぶのは、友人のリクエストがあるからで、日本の他のどこにもない美しい海や岬などの自然や歴史のある教会が多く存在するというイメージが強く、食材を満喫できて、しかも長崎から行きやすいからです。その点では、五島は日本の他の地域とは差別化されています。ブランドのある地域となるためには、差別化(他のどこにもない特徴がある)、約束性(裏切らない)、顧客満足(実体のある満足を得られる)、一流性(自尊心をくすぐる)、拡張性(選択の幅が広い)を備えることが必要です。五島は一流性、拡張性に課題を残しつつも、十分に地域ブランドを主張できる地域です。
地域ブランドの価値には、イメージ価値と実体価値(地域の固有資源)とがあり、この二つのバランスが取れていることが必要です。ブランドを作る場合、実体価値の中で最も中核となるコア資源を抽出し、それが他の地域と最も差別化できるコンセプトを決め、イメージ化することが良く行われます。五島の場合、海や岬の自然だけでは、沖縄の海や知床の雄大な自然との差別化が難しいので、教会で繰り広げられたキリスト教信仰者の歴史や神秘性をコア資源とする方がブランド化しやすい可能性があります。しかし、それだけでは拡張性に欠けるので、どうしても豊富で新鮮な魚やイカを採り上げざるを得ないのですが、おいしい魚やイカを食べられる所は日本中に幾つもあるので、アゴ(トビウオ)やミズイカ(あおりイカ)、ゴンアジ(大振りなアジ)で差別化する必要もあるでしょう。
そしてコンセプトに沿った資源を発掘・開発して行くことにより更に拡張性を高め、顧客満足を高めることが可能です。本年7月に上五島広域観光協会によって出された「新上五島町観光協会アクションプラン」に交流イベント実施事業の一つとして「クリスマスチャーチウイーク」が上げられていますが、五島でしか味わえないクリスマスの演出に期待したいと思います。
|
 |
菊森 淳文(きくもり あつふみ)
鞄本総合研究所調査部社会経済政策研究センター主席研究員
東京大学法学部卒業、三井住友銀行(現)入行
米国シカゴ大学経営大学院にてMBAを取得
元京都大学大学院・信州大学、現長崎県立大学非常勤講師(政策形成論)
金融・投資理論及び実務、財政・地方行政、経営学・経営戦略、
経営事例研究・経営コンサルテイング、中小企業論、
情報化・インターネット利用のビジネスモデル
「学習する会社のナレッジコラボレーション」ほか著書・論文多数
経済産業省「21世紀社会経済システム研究会」座長他政府委員を歴任
長崎県・大村市・横浜市及び日本経団連中小企業委員会の各委員を歴任
中小企業庁長官賞、清水晶記念マーケテイング論文賞受賞 |
|
| BACK |