| 温泉の経済効果 (長崎新聞「うず潮」11月号より) |
ながさき地域政策研究所 常務理事・調査研究部長 菊森 淳文
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秋も深まる中、観光の魅力の中で最も重要な資源は温泉と食・料理です。特に最近、伊王島、大村市等長崎県内で温泉を掘り当て、地域興しに成功する事例は増えています。この背景には、高齢・長寿社会を迎えて生活における健康指向が高まっていることがあります。しかし、これだけ多くの地域で温泉が出るようになると、「温泉の地域間競争」も激化しています。
長崎県の温泉と言えば雲仙・小浜が代表格でしたが、平戸市が2000年から温泉の給湯を開始してから観光客数が12万人増加しました。また、伊王島でも観光客数が2002年に10万人を切っていたのが、温泉開業後の2003年には17万人に増加しました。私の試算では、長崎県内で温泉によって新たな集客が出来た場合の経済効果は、直接需要売上、一次・二次波及効果合わせて約18億円となります。
このような経済効果の大きな温泉集客の正否を決するものは、三つあります。第一に、温泉がターゲットとする商圏を明確化して差別化戦略を策定することです。例えば平戸温泉は北部・西部九州を対象と出来ますが、小浜温泉はむしろ県内を始めとする地元需要を捉えることが必要となります。第二に、本物の温泉が持つ力をアピールすることです。最近温泉の信憑性が疑われる事案が出ていますが、病気治癒の効能の明示、健康維持・病気予防効果等を分かりやすく消費者にアピールすることです。第三に、食、歴史文化、自然、娯楽等観光の他の要素との複合力です。歴史文化、自然、食との複合を目指す雲仙・小浜・島原、娯楽との複合を目指す伊王島、ハウステンボスなど、様々な組み合わせが可能です。
温泉は他の観光施設と同様、競争状態にある中で、リピーターをいかに増やすかが課題です。これらの戦略手法を用いて、既存の温泉場の振興を図ることも、また新しい温泉を掘削することにより観光施設に新たな魅力を与えて差別化に成功することも十分可能なのです。
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菊森 淳文(きくもり あつふみ)
鞄本総合研究所調査部社会経済政策研究センター主席研究員
東京大学法学部卒業、三井住友銀行(現)入行
米国シカゴ大学経営大学院にてMBAを取得
元京都大学大学院・信州大学、現長崎県立大学非常勤講師(政策形成論)
金融・投資理論及び実務、財政・地方行政、経営学・経営戦略、
経営事例研究・経営コンサルテイング、中小企業論、
情報化・インターネット利用のビジネスモデル
「学習する会社のナレッジコラボレーション」ほか著書・論文多数
経済産業省「21世紀社会経済システム研究会」座長他政府委員を歴任
長崎県・大村市・横浜市及び日本経団連中小企業委員会の各委員を歴任
中小企業庁長官賞、清水晶記念マーケテイング論文賞受賞 |
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